★【スモーク・セッション】新譜 3作品 サイラス・チェスナット、オリン・エヴァンス、エリック・リード
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CYRUS CHESTNUT サイラス・チェスナット / MIDNIGHT MELODIES ミッドナイト・メロディーズ
当アルバムはサイラスがベティ、そしてジョン・ヒックス(1941-2006)の思い出に捧げた作品といっていいだろう。若手ミュージシャンとのレギュラー・グループを率いて久しいサイラスだが、ここではヒックスと一緒にバンドを組んでいたカーティス・ランディ(ベース、1955年生まれ)とヴィクター・ルイス(ドラムス、1950年生まれ)という上の世代ふたりとプレイしている。演奏レパートリーもヒックスゆかりのものが少なくなく、「トゥー・ハートビーツ」、「ポケット・フル・オブ・ブルース」、「ナイーマズ・ラヴ・ソング」は故人の自作だ。「ジャイアント・ステップス」は無論ジョン・コルトレーンの古典だが、後半にやはりコルトレーン作である「セントラル・パーク・ウェスト」の一節を挟んで新鮮味を出している。(中略)
「ザ・テーマ」ではサイラス自身によるMCも聴くことができる。暖かく、深みのある声だ。「気をつけて家に帰ってくださいね。憎しみにかえて愛を、戦争にかえて平和を。また会いましょう」。途中、“ポール、ありがとう”という言葉も挿入される。「スモーク」のオーナーで、当アルバムのプロデュースとエンジニアを務めるPaul Stacheがそばにいたのだろう。(原田和典氏 / ライナーより抜粋)
1.Two Heartbeats
2.Pocket Full of Blues
3.To Be Determined
4.Bag's Groove
5.Hey, It's Me You're Talkin' To
6.Chelsea Bridge
7.U.M.M.G. Upper Manhattan Medical Group
8.I Wanted to Say
9.Giant Steps
10.Naima's Love Song
11.The Theme
Cyrus Chestnut - piano
Curtis Lundy - bass
Victor Lewis - drums
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ORRIN EVANS オリン・エヴァンス / LIBERATION BLUES リベレイション・ブルース
録音は2014年1月10日と11日。その約2週間前の2013年12月28日に43歳で病没したベース奏者ドウェイン・バーノに捧げた5部構成の「The Liberation Blues Suite」からオリン独特の濃厚で重厚な世界が広がる。共演メンバーはショーン・ジョーンズ(トランペット、1978年生まれ)、JDアレン(テナー・サックス、1972年生まれ)、ルクス・カーティス(ベース、1983年生まれ)、ビル・スチュアート(ドラムス、1966年生まれ)。パット・メセニーやジョン・スコフィールドとの共演で知られるスチュアートの参加は世代的にも人脈的にも異色だが、オリンは彼のサウンドが大好きなのだという。吹き込みに際し、オリンはこれまでプレイして手ごたえを感じた面々の中から、一度も共演レコーディングをしたことのないミュージシャンも呼ぼうと思った。「今こそ、ビル・スチュアートに声をかける時だと思ったんだ」。ルクスはラテン・ジャズの世界でも売り出し中の気鋭。ジャッキー・マクリーンが学長を務めていた「アーティスツ・コレクティヴ」で学び、その後はバークリー音楽大学にも在籍。エディ・パルミエリのバンドにも加わっている。凝りに凝った緊張感だらけの演奏が続いた後、スタンダード・ナンバー「The Night Has A Thousand Eyes」が飛び出す。花を添える歌声の持ち主はジョアンナ・パスカル。オリンは「彼女は偉大なシンガー、ミュージシャン、アーティストとして開花しつつある」と述べている。(原田和典氏/ライナーより抜粋)
1. Devil Eyes 9:23 (Dwayne Burno)
2. Juanita 5:37 (Dwayne Burno)
3. A Lil’ D.A.B. a do Ya 5:48 (Orrin Evans)
4. A Free Man? 6:22 (Donald Brown)
5. Liberation Blues 5:01 (Orrin Evans)
6. Simply Green 5:59 (Orrin Evans)
7. Anysha 6:13 (Trudy Pitts)
8. Meant to Shine 6:46 (Orrin Evans)
9. Mumbo Jumbo 7:36 (Paul Motian)
10. How High the Moon 4:57 (Morgan Lewis / Nancy Hamilton)
11. The Theme 2:03 (Miles Davis)
12. Encore: The Night has a Thousand Eyes 6:56 (Jerry Brainin / Buddy Bernier)
Sean Jones - trumpet (except #7, 10, 11 & 12)
JD Allen - tenor saxophone (except #10, 11 & 12)
Orrin Evans - piano
Luques Curtis - bass
Bill Stewart - drums
+ Joanna Pascale - vocals #12
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ERIC REED エリック・リード / GROOVEWISE グルーブワイズ
この新作は、ニューヨークのジャズ・クラブ「スモーク」における収録。エリックのライヴ・レコーディングとしては、サイラス・チェスナットとのツイン・ピアノを聴かせたサヴァント盤『Plenty Swing, Plenty Soul』以来のリリースだろう。共演メンバーはシェイマス・ブレイク(サックス、1970年生まれ)、ベン・ウィリアムス(ベース、1984年生まれ)、グレゴリー・ハッチンソン(ドラムス、1970年生まれ)。ブレイクは2サックス編成のロック・グループ“ブルームダディーズ”でも演奏し、ウィリアムスはパット・メセニーの最新ユニット“ユニティ・バンド”のメンバーでもある。マーヴィン・スミッティ・スミスやケニー・ワシントンに学んだハッチンソンは一般的に4ビート・ジャズの名手として知られていると思うが、ダイアン・リーヴスの許でのサポートを聴くと相当に幅広い感性の持ち主であることがわかる。しかし当アルバムでは誰もがエリック・リードの采配よろしきを得て、とにかくひたすらストレート・アヘッドに、スインギーにジャズをプレイすることに徹している。それぞれのジャズ愛をドカンと爆発させている、といっていい。(原田和典氏/ライナーより抜粋)
1.Powerful Paul Robeson (Clifford Jordan & Hank Smith) 7:59
2.Until the Last Cat has Swung (Eric Reed) 5:41
3.Manhattan Melodies (Eric Reed) 6:56
4.The Gentle Giant (Eric Reed) 3:43
5.Ornate (Eric Reed) 3:45
6.The Shade of the Cedar Tree (Christian McBride) 8:35
7.Bopward (Eric Reed) 5:33
8.Una Mujer Elegante (Eric Reed) 7:04
9.Groovewise (Intro) (Eric Reed) 3:26
10.Groovewise (Eric Reed) 6:13
Seamus Blake, saxophones (except #4)
Eric Reed, piano
Ben Williams, bass
Gregory Hutchinson, drums
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