人気レーベル!ドイツSKIP RECORDSの特集です!
旧譜の全部がまだ入手可能かどうか不明ですが、過去に入荷したタイトルのキャプションをご紹介致します。御注文頂きましたCDは注文手配致しますので、お問い合わせページ、あるいは、商品ページよりどうぞ!
●WOLFGANG SCHLUTER / FOUR COLOURS
ハンブルクを拠点にドイツ・モダン・ジャズ・シーンの第一線で八面六臂に活躍、名匠ミヒャエル・ナウラのパートナーを長年に渡り務める一方、人気楽団NDRビッグ・バンドの顔=大幹部でも鳴らし、過去MRC、MPS、Koala-Panda、Extra、ACT等にアジな諸作品を残してきたベテラン・ヴィブラフォン奏者:Wolfgang Schlueter(1933年生まれ)の、近年率いているレギュラー・カルテットによる2007年ハンブルク・ジャズ祭でのライヴ録音作。骨太でメタリック、かつ流麗に波線を描いてゆくような自然な滑らかさや潤いもバッチリ備わった、おいしさ抜群で表情あるヴィブラフォン・トーンによる、ミルト・ジャクソンとボビー・ハッチャーソンの間ぐらい?な、ブルージー&モーダルな正攻法プレイが凛々しく爽やかに華を成し、一方、硬派バッパー然としたピアノの半アクロバティカルなアクション奮戦、も中々勇ましげに彩りを添えた、直球指向の痛快旨口昂揚編である。歌とブルースとスイング、にポイントを絞り込んだような、単純明快な正統娯楽的ハード・バップ大会が溌剌と、ダイナミックに展開してゆき、主役ヴィブラフォンの、ブルース由来のソウルフルな旨味をたっぷり込めつつ、起伏は烈しく中々シャープにドライヴのかかった弾むような躍動的スウィンギン・フレーズを清やかに紡ぎ、また幾何学的クールネスや都会的インテリ肌の微熱スピリチュアルさ?などを強調した新主流派モード路線の典型然たるアプローチ、も的確に盛り込んで劇的メリハリをキッチリつけてゆく(とりわけ#3はアレンジ構成もよく考えられたコンポジション指向の秀逸名演)、という、何げにバランスのとれたエンターテイニングな吟醸職人らしい立ち働き、がさすが懐深く芳醇に映え渡る他、幾分かセッション感覚っぽく荒削りに躍り回るピアノの渋い殺陣攻勢、も程好いコントラストで際立ち、大いに楽しませる。
1.Yes, I've Met Miss Jones 2.Minority 3.Recuerdos De Pollensa 4.It Might As Well Be Spring 5.Cherokee 6.Reunion Blues
Wolfgang Schluter(vib)Boris Netsvetaev(p)Philip Steen(b)Kai Bussenius(ds)2007年10月5日ドイツ-ハンブルク・ジャズ・フェスティヴァルでのライヴ録音
●PETER WENIGER / SING YOUR SELF A DREAM
幾多のビッグ・バンドでの豊富な経験を活かした守備範囲の広い芸風・作風に定評を得、過去約20年来MonsそしてSkipにコンスタントなペースでリーダー録音を続けて人気を博してきたドイツの逸材ペーター・ヴェニガー(1964年ドイツのハンブルク生まれ)の、馴染みの面々とのカルテットによる一作。温もりと軽涼味が表裏一体化したような、陰影深く端正でまろやかなスモーキー・トーン(テナー)による、ブルージー・ソウルも自然と備わった繊細で優しいリリカル・プレイが、余情豊かに風格ある映えを見せた美味内容である。インタープレイ調の浮遊的サスペンスっぽい要素も適宜盛り込まれるが、基本はごく柔和で穏やかな、バラードやスロー・ボサ風などの頻出する落ち着いたリラクゼーション指向の抒情派奏演、が品よく快適に続き、主役サックスの、ヨーロッパ耽美浪漫派の一典型らしい自由即興度高めな徒然スケッチ風の、とめどなく潤滑にスイスイ流れ進んでゆくような哀愁フレージングや、ブルース&モードの旨味をたっぷり凝縮したストレートアヘッドな熱っぽい敏活スインギー・ブロウ、ソプラノのやや尖った音色を巧く活かしての激情孕む鋭利でスリリングなアクション攻勢、などなど、文体バリエーションに富んだ、しかし根底には生粋メロディストらしい明朗な「歌心」がしっかりと息づき、また奏法的にはゲッツ似のソフトな流線型スムース・スタイルが変わらぬ身上である、というその、多彩で迫真味深くもあくまで親しみやすいアドリブ探究の様、がフレッシュ&テイスティーに冴え渡って、心地よく楽しませてくれる。抑えの利いた、シャープな硬質的締まりあるピアノの助演も好印象。
1.Prayer 2.Ohla Maria 3.Amber 4.Alia 5.O Grande Amor 6.Remember EJ 7.When Lights Are Low 8.Old Rabbits's New Habits 9.Soft Breeze Over Green Field 10.Before We Start 11.The Vibe 12.First Day In The Country
Peter Weniger(ts,ss)Hubert Nuss(p)Martin Wind(b)Hans Dekker(ds)2008年作品
●SUBTONE / ECHOLOT
Double Moonよりの一作「High Tide」(2006年)が中々だった、ドイツの若手精鋭5人チームの2作目。曲はメンバー持ち寄りのオリジナル。シャープ&フレッシュに眩く煌くような2管アンサンブルも要所要所で好アクセントを成しながら、歯切れよく威勢のいい情熱的メロディアス奏演が、ビシビシ鋭敏に展開してゆく爽快昂揚編である。リズム形式は今風で変化に富む、ダイナミックなアクション型リリカル路線、風の正統的モーダル・バピッシュ熱演が精悍げに続き、トランペット者の、光輝を放つようなピリッと鋭く張ったトーンでの、まろやかな詩的ロマンティック節とハードな突起破裂型の速射アタック技、を交錯させた、適度に荒削りな推進力抜群の立ち働き、が筆頭花形っぽく爽やかに映える他、サックス者の、微妙に熱っぽい尖り感と流麗スムースさの混じった音色による、レイジーでありエネルギッシュでもあるモード色濃厚な劇的ブロウや、ピアノ者の、モード&バップの基本イディオムにキッチリ則りつつクールな耽美派的バリエーション転回なども見せる、キリッとしたキレのある暗影深めの抑え役ぶり、も各々生鮮味充分に魅力を発揮して、飽きさせずエキサイティングに聴き進ませる。翳り濃い哀愁のフォーク・バラード調#5のドラマティックな風情が白眉。
1.Eight Kings 2.Madame Moustache 3.Echolot 4.Uphill 5.Nachklang 6.Trance Dance 7.Rubato 8.Recovered
Magnus Schriefl(tp,flh)Malte Durrschnabel(as,ss)Florian Hofner(p)Benjamin Hiesinger(b)Peter Gall(ds)2009年作品
●TINGVALL TRIO / NORR
Skipよりの一作「Skagerrak」が好評を得ていた、主にドイツで活躍するスウェーデン出身のピアニスト:Martin Tingvall率いるトリオ(2003年結成)の最新作。2008年制作。曲は全て本人の自作。透明感や冷涼味に富んだ繊細な、かつキレ(や勢い)もある生鮮クリアー・タッチでの、しっとり優しい耽美派エレガンス趣向と、エモーショナル&ダイナミックな突撃疾走モード、の間を自在に行き来する、メリハリに富んだリリカル・プレイが爽やかな魅力を放った好内容である。リズム等のスタイルは多様で緩急の起伏も豊富だが、先ず何よりメロディーの美しさ・親しみやすさ=情感を込めて明晰に歌うこと、を全編通じてのキーポイントとした、中々ハートフルでロマネスクな劇的妙演が軽快滑脱に続き、主役ピアノの、振り幅大きくも均整ある、何げにドラマツルギーを心得た根は明朗歌謡肌のストーリーテラーぶりがスッキリと冴えている。語法〜アプローチは多岐に及ぶが、中でも、キース的なフォーク&ゴスペル色を加味したヨーロッパ浪漫派の一典型らしいクール&マイルドな耽美的・バラード的寛ぎフレージング、をベースとしながら、粋筋ファンキー系のイナセな小唄的ソウルフル節も混入させてくる、という、小回りの利いた表情多彩な牧歌調の文脈展開、に得難い清新さ〜キラキラ感があり、またモード派のオーソドキシーに沿ったパーカッシヴな熱血アクション攻勢、のカラッとした壮快さもGOOD。
1.Utsikt 2.Grrr 3.Snarestad Folkvisa 4.Barnslig 5.Norr 6.Mjau 7.Batsregn 8.Sekund 9.Trolldans 10.Monster 11.Bachibas
Martin Tingvall(p)Omar Rodriguez Calvo(b)Jorgen Spiegel(ds)
●WOLFGANG SCHMID / LET THE GROOVE BEGIN...
ドイツ・シーンで長らく活躍し、チャーリー・アントリーニ、クラウス・ドルディンガー(パスポートとか)らのサイドや、NDRビッグ・バンドで腕を揮いつつ、自己のコンボや連名企画ユニット等も精力的に推進、20数年来BellやTiptoeに数々のユニークな吹き込みを残してきた、コンテンポラリー肌の辣腕ベーシストの快作。編成はギター、アルト、鍵盤者、ドラムとのクインテットが基本。ザラつき&濁りの利いたgの細かな蠢き=リズミカル鳴動や、端麗かつ妖艶なelpの幻想的リリカル・プレイ、などが利いて70年代のファンク・ジャズ〜ジャズ・ロック路線に似た風趣が醸し出されるところもある、ノリノリのビートに乗せたファンク・グルーヴ〜クラブ・ジャズ・タイプのキャッチー&ソウルフルな熱演が鋭敏に展開してゆく、渋い旨味も充分の壮快昂揚編である。曲によってパターンも様々な、舞踏的グルーヴ感溢れるコンテンポラリーめの律動型ビートに乗っての、明快でメロディアスな、熱のこもったリリカル・アクション調の奮戦が続き、elb者の、シャープで力強いバネ〜バウンド跳躍力の利いた厚みあるうねり轟鳴、が空間の中心でこってり芳醇に際立ちつつ、各人の、中々硬派でエネルギッシュなソロが鮮烈に見せ場を分け合ってゆく。as者の、ファンキー・ソウルと熱血スピリチュアリティ一杯のカラッとしたイキのいい立ち回りや、g者の、バピッシュ&ブルージーなシブめの吟醸的プレイと妖しくワイルドなコンテンポラリー技(ジョンスコ風とか)を自在に使い分けた予断ならぬ機動ぶり、など、瑞々しい個人芸の名場面も多数用意された、歯応え充分の好品。
Let The Groove Begin,Wrap Me Up,Dancing In The Rain,The Nerve,That's Why他全9曲収録
Wolfgang Schmid(b,voice,loops)Antonio Lucaciu(as)Peter Wolpl(g,synth)Benedikt Moser(elp,key)Oli Rubow(ds,per,electronics)
●PETER FESSLER & NDR BIG BAND / I CONCENTRATE ON YOU
ドイツのみならずオランダやアメリカにも頻繁に赴きつつ国際的活躍を続け、Minor MusicやSkipに優れた吹き込みを残してきた人気シンガー:P・フェスラーの、名門NDRビッグ・バンドと組んだ快作。曲はスタンダード中心。爽涼で柔らかな、潤いにも富んだきめの細かい中音域のマイルド・ヴォイスによる、優しくエレガントな、中々ニュアンスの深い端麗リリカル演唱が瀟洒に、余情ある映えを示した快適内容である。ビッグ・バンドの、抑制の利いたクール&デリケートな耽美的寛ぎ演奏もおいしく際立ちながら、緩急メリハリは適宜細かにつけられるも概ねバラード的コンセプトを基本とした、和み調子のソフィスティケートな行き方が小気味よく潤滑に続き、主役voの、濃やかな機微と洒落たウィットそして柔和で深い包容力、を有した、自然体にして抑揚ある流麗滑脱な語り口が颯爽と冴えている。肩の力を抜いて語り・つぶやきに節をつけてゆく、ような、ソフト&スムースな寛ぎフレージングを根幹としつつ、随所で微細にドスやキレを利かせたブルージーorダイナミックな小節も織り混ぜて、流れに弾み&勢いをつけ、何げに力強くドラマティックなメリハリを醸成してゆく、という、一聴巧みなげな洗練されたストーリーテリングの妙は絶品で、管楽器系始めバック陣のソロ活躍も中々に充実した芳醇さを示している。
My One And Only Love,You Go To My Head,Triste,My Foolish Heart,Dindi他全10曲収録
Peter Fessler(vo)Steve Gray(musical director,p,elp)Thorsten Benkenstein,Ingolf Burkhardt,Claus Stotter,Reiner Winterschladen,Dirk Lentschat,Michael Leuschner,Benny Brown(tp,flh)Dan Gottshall,Nils Landgren,Stephan Lottermann,Ingo Lahme(tb)Fiete Felsch,Peter Bolte,Christof Lauer,Lutz Buchner,Frank Delle(sax,fl)Stephan Diez(g)Wladyslav Sendecki(p)Lucas Lindholm(b)Danny Gottlieb,Gary Husband(ds)Marcio Doctor(per)
●TINGVALL TRIO / SKAGERRAK
ドイツの若手ピアニスト率いるトリオの一編。独Osnabruck録音。曲はp者の自作。しっとりめの端麗なクールネスと、エネルギッシュ&ダイナミックな高揚パワー、を併せ持った、中々振り幅の大きな劇的快演がフレッシュに展開される敢闘内容である。刻々とフレキシブルにその形式・パターンを変転させるコンテンポラリーな多岐リズミカル・ビート(ストレートな4ビートもある)に乗せての、現代ヨーロピアンらしいスマートな洗練味と一定の詩的情緒性〜メロディアスさを基底に保った、緩急のメリハリ満点なリリカルめの行き方が続き、主役pの、爽涼で滑らかなタッチ(時折パーカッシヴな鋭角さも発揮)による、表情多彩で滑脱、それでいてあくまで開放的娯楽性を重視した歯切れよく掴みのいいプレイが、スッキリと清やかに冴えている。→ヨーロッパ抒情派の本道らしい、デリケートで甘美な夢幻的ロマンティシズム(またはフォークっぽい牧歌的スピリチュアリティ)に溢れたムードたっぷりのバラード、に出色の妙味が示される他、ゴスペル〜R&B系統の歌謡色も加味した勇ましげなファンキー熱演や、モード色濃いアグレッシヴな熱血ダイナミック・アクション攻勢(マッコイ〜ハンコック系統)、にも冴えたキレとコクがあり、興趣はバラエティー豊富で飽きさせない。良質作。
Sjorup,Movie,Mustasch,Avsked,Norrland Guld,Skagerrak,Medvind,Brollop他全14曲収録
Martin Tingvall(p)Omar Rodriguez Calvo(b)Jurgen Spiegel(ds)
●ALBERT MANGELSDORFF / TRIPLICITY
2005年7月25日フランクフルトの自宅で亡くなった、ドイツのニュー・ジャズ界を代表する巨匠アルバート・マンゲルスドルフ(1928年フランクフルト・アム・マイン生まれ)の、本盤は、中々強力な顔ぶれのトリオによる、1979年4月ハンブルクで録られていた未発表スタジオ・ライヴ音源の初ディスク化。曲はオリジナル。場面場面でビート・パターンも自在に変移してゆく、極めて自由即興度の高い奔放な抒情的インタープレイが流麗溌剌と展開してゆく、長尺だが一時も飽きさせない充実内容である。デュオ状態やソロ状態も適宜盛り込まれながらの、ドッシリ腰の据わった、それでいてキレよく推進力も抜群な突撃滑走が続き、マンゲルスドルフの、牧歌的でおおらかなブルース(&フォーク)・スピリットと、半ゲリラティックな飄々としたユーモア感覚、にしっかりと根ざした人情味たっぷりな、かつアブストラクトな解放感(自由謳歌気分)も満載した明朗滑脱この上なしの歌い泳ぎっぷり以下、各人の歌謡性とグルーヴ感を基底に保った即興のやりとりが、中々に気さくで美味しい見せ場をキビキビと飾ってゆく(ビター・テイスト〜無調性を強化した硬派フリー・ジャズ・タイプの熱演曲も若干ある)。音色の形状〜彫りの深さや陰影の度合いも刻々自在に変化させながら、さりげなく超ハイ・テクニックで隅々まで緻密な精確さと旨味の行き届いた、しかし表面上はあくまで平易で親しみやすい風合いを絶やさず波乗り感覚の流暢なフレージングに終始するマンゲルスドルフ、その実に懐深いインプロヴィゼーションの奥義が全編に渡って遺憾なく楽しげに発揮され、また鋭敏にしてウォームな包容的スピリチュアリティ溢れるA・アンデルセンのソロも芳醇な余韻を残す、全体的に、ジミー・ジュフリー3辺りにも底通するカラッと陽気でドライな風通しのいい青空気分に包まれた、独創的リリカル・フリー・バップの逸編。
Triplicity,Soulbird,Outhouse,Virgin Green Of Spring,Subconscious Skylark他全10曲収録
Albert Mangelsdorff(tb)Arild Andersen(b)Pierre Favre(ds)
●DON FRIEDMAN / SALZAU TRIO.LIVE AT JAZZ BALTICA
好調ドン・フリードマン(1935年カリフォルニア州サンフランシスコ生まれ)の新トリオによるドイツ-Salzauでのライヴ実況編。伸び伸びと構えた自然体調子の敏活溌剌な抒情派演奏=ライヴならではの加熱昂揚的勢いと粘り感も充分な長尺めの敢闘トラック、が連続する中々にホットな壮快内容である。エヴァンス派第一世代たるその原点に立ち返ったようなフリードマンの、多くの場面でエヴァンス語法をストレートに活用しつつ、バネを利かせてダイナミック&ロマンティックにイキイキと舞い躍る耽美的アクティヴ・メロディストぶりが清々しい、キレと風通しも抜群の明快でスインギーな邁進が一貫し、道程にはシンプル&フレッシュな情味と興奮が横溢。エヴァンス節をあくまで文体の基本根幹としてマイルドかつスリリングに詩情を活写しつつ、より硬質なバップ・イディオム技やファンキー・フレージング、モーダルな熱情的ダイナミズム攻勢、といった転回も盛り込んで表情豊かに力強く劇的ストーリーラインを紡ぎ上げてゆくフリードマンの、仕掛けを排した正攻法勝負のおおらかな(ちょっと荒削りな)ハッスル具合が全編を通じて生鮮度満点に映え、腕利きサイド2者のスケール満点かつ機動性に長けた結構綿密なサポートも美味しく際立った、理屈抜きにスカッとする芳醇エキサイティング作品。
I Hear A Rhapsody,You Must Believe In Spring,Alone Together,Half & Half他全7曲収録
Don Friedman(p)Martin Wind(b)Terri Lyne Carrington(ds)
●PETER WENIGER / LEGAL PRARADIZER
幾多のビッグ・バンドでの豊富な経験を活かした守備範囲の広い芸風・作風に定評を得、過去10数年来Monsにコンスタントなペースでリーダー録音を続けて人気を博してきた、ドイツの逸材ペーター・ヴェニガーの、本盤はシンプルなピアノレス・トリオで軽やかかつ深い表現力が発揮された会心打編。全曲本人のオリジナル。シャープな感触と敏速な跳躍感に溢れたエレキ・ベースの鳴動音も快適に、シリアスなファンク・ジャズ調のリズミカル熱演(ビートのパターンは曲によって様々)がトントン拍子で押し進められてゆく。モーダルな熱情性を含みつつ、どこかクール&レイジーに醒めたようでもあるヴェニガーの流暢なリリカル・ブローイングも中々の旨味を呈しており、薄味のファンキー色とドライな武骨さの入り混じったソウル節や、程好い脱力感を伴ったアグレッシヴ・アクションなど、音の動き(フレージング)と情感の込め様を(本来シンクロ符合すべきところを?)微妙にずらし外したかのようなその(肩透かし的)文脈構成は何ともユニークだ。キビキビと歯切れよく軽快な推進力に長けたdsのサポートも秀逸。冷涼でアンニュイな幻想気分の漂うサンバ調の静謐バラードが白眉。アジな意欲作。
Paradizer,Speedworld,The Breed Is Funkin',We Are Like That,Poem Of A Bird他全11曲収録
Peter Weniger(ts)Decebal Badila(elb)Wolfgang Haffner(ds)
●WILL LEE / BIRD HOUSE
精確巧緻な超絶テクニックを有する名スタジオ・ミュージシャンで鳴らし、主にフュージョン系やヴォーカル、ポップス系のビッグ・スター達に重用されてきたベーシスト:ウィル・リー(1950年生まれ)が、ブレッカー兄弟やルー・ソロフほか馴染みの共演仲間を招集し、様々な組み合わせのコンボ体制でチャーリー・パーカーにゆかりのナンバー群を伸び伸びと奏したトリビュート・セッション企画物。モーダルな激動的アクション趣向も適度に盛り込んでの、スカッとした単純明解なブローイング・ジャム形式の快演が続き、各人の個性全開なソロ合戦の沸騰ぶりに見せ場を絞ったエンタテイメント性徹底重視の行き方(概ねウォームな寛ぎめの抒情派路線)が好もしい。とりわけ、ハード・ドライヴィングにしてかなり渋〜いブルージー・ギターの大立ち回りと、硬角質に引き締まった職人的バップ・ピアノがスリリングに渡り合うAu Privaveが最高。
Confirmation,Now's The Time,Lover Man,Hot House,Yardbird Suite,Cheryl他全12曲収録
Will Lee(b)Bill Lee(p)Billy Hart(ds)Michael Brecker(ts)Randy Brecker(tp)Lew Soloff(tp)Warren Chiasson(vib)John Tropea(g)Bob Dorough(vo)
●DAVID GAZAROV / MAD CLOWN'S DREAMS
AnimaレーベルでのC・イスラエル他との共演諸作やOrganic Music並びに当レーベルでのトリオ・セッション等で知られる、ドイツのシーンで90年代以降メキメキと頭角を現してきたアゼルバイジャン-バクー出身のピアニスト(モスクワで音楽を学んだ後ドイツに渡る)の、今回はエリントン楽団の屋台骨を支えた大ベテランJ・ウッドとのデュオ演集。端正でエレガントなバラード的風合いを呈した情趣深き抒情派演奏数曲や、ハードでダイナミック=豪快な殺陣アクションの妙味にポイントを絞った迫力満点の大立ち回り熱演曲、洒脱でスインギーなノリを示す寛ぎ小唄調の軽快演奏、ピーターソン・タイプの豪快なファンキー・ブルース、など多彩なアプローチが次々に繰り出され大いに楽しませる。名手ウッドのあらゆる形状に音像を変化させてゆく自由自在なサポートぶりも秀逸だ。ヨーロピアンな耽美色や瞑想感を激しい立体力学攻勢の中に散りばめたオリジナル数曲がとりわけインパクト大。
Sophisticated Lady,Take Five,Darn That Dream,These Foolish Things他全13曲収録
David Gazarov(p)Jimmy Woode(b)
●DAVID GAZAROV TRIO / BLACK VISION
アゼルバイジャン-バクー出身、モスクワで音楽を学び、リリース時はドイツで活動するp者のトリオ作品。超明快な硬派のハードバップ・ピアノの粋を示す、またモーダルな熱気とダイナミズムのほとばしる大半のトラック、立体力学的語法を活かした雄渾の詩的ロマンティストぶりを発揮する躍動型叙情曲、辺りのシンプルでストレートな職人っぽい昂揚感の盛り上げ具合が壮快。一方瞑想的・内省的なデリカシーとソフィスティケーションに溢れた変則バラードや、エヴァンス調の耽美的インタープレイ曲、の転回趣向も中々の妙味。単純明解なエンタテイメント作品。
Lazybird,Like Someone In Love,Solar,Round Midnight,Lotus Blossom他全10曲収録
David Gazarov(p)Chris Lachotta(b)Keith Copeland(ds)